ベテラン塾長が教えます

賢い塾選びのコツ


真剣に授業を聞く塾生(中学生)
真剣に勉強する塾生(中学生)


 指導歴30年、あらゆる指導形態を経験してきたベテラン塾長のアドバイスは一読の価値ありです。

 

★塾の指導形態について

 まずは基本的な知識から。塾のタイプは、その指導形態から大きく2つに分類できます。1つは一斉授業による集団指導(佐鳴・野田塾・夢現塾など)、1つは個人別に教える個別指導(明光・トライ・ITTOなど)です。業界のシェアもほぼ半々になっています。学習塾のタイプ別の長所・短所をよく知り、CMや外観などに惑わされることなく自分に合った塾をみつけることが何よりも肝心です。

★意外に成果の上がりにくい個別指導

 個別指導の良いところは、安心感と利便性です。個人別の指導なので、わかるまで教えてもらえるという安心感があり、教科や指導時間・通塾日なども選択の幅が広く、自由度が高くなっています。集団が苦手で、基礎につまづいているような生徒には向いています。

 反面大きな問題点は、なかなかマイペースから抜け出せず、モチベーションが上がりにくいことです。また、費用の点でも集団指導に比べてかなり割高になります。(安さを打ち出している個別もたまにみかけますが、指導システム上集団よりも安くなりようがない。)夏期講習に十数万円も払った挙げ句、ほとんど順位は 上がらなかった、などという話も聞こえてきたりします。(個別の場合、特に季節講習の費用が驚くほど高くなることがあるので要注意です。)

 なんとなく集団より個別が優っているようなイメージを持っている人も多いかもしれませんが、指導システムそのものが内包する脆弱性は否めず、費用をかけた割には意外に成果が上がらないこともよくあるのです。

★大手と個人では全く異なる集団指導

 集団指導の塾では、大手のチェーン塾と個人塾では大きく様相が違います。

 大手の進学塾は宿題も多く、指導方針も厳しく、座席も成績順にするなど競争意識を煽り立てるような指導を行ったりもします。やる気も能力も高く、競争意欲旺盛な生徒には向いているといえます。また、データの蓄積が豊富ですので進学情報などの信頼性も高くなっています。ただし、一教室あたりの生徒数は非常に多く、個別のフォローアップなどはほぼ不可能で、成績下位層の生徒はそのまま置いてきぼりにされてしまいます。

 一方個人塾は、塾長の人柄によって雰囲気は千差万別ですが、概してアットホームなところが多いようです。スパルタで鍛えて欲しいというような要望にはマッチしませんが、少人数の場合が圧倒的ですので、面倒見のよい指導が期待できるでしょう。うまく相性があったときには、やる気のある成績中位層・下位層の生徒が大きく伸びることがよくあります。

★集団+個別の新しい指導形態

 最近になって目につく新しい指導形態は、集団指導と個別指導の両方の長所を取り入れた融合型の指導スタイルです。これは、一斉授業による集団指導を中核としつつ、様々な個別対応も実施して、個人個人の弱点をフォローアップしていくというものです。このスタイルは1教場あたりの生徒数が非常に多い大手チェーン塾では実行不可能で、地元に密着した小規模塾で多く行われています。中にはこのやり方で大きな成果を上げ、地域で非常に高く評価されている塾もあるようです。

★塾選びのポイント

 まずは口コミの情報をたくさん集めること。友人・知人に聞くのはもちろん、様々な情報媒体にもあたってみましょう。また、体験授業があれば必ず受け、雰囲気などを確かめましょう。体験授業がないときは、在塾生に直接聞くのが一番です。

 誰にでも合う万能の塾などないので、自分の性格・能力・学習状況などを冷静に判断して、最も伸ばしてくれそうな塾を選びましょう。

 一旦入塾したら、とにかくそこで頑張ってみること。すぐに目移りして、塾を転々とする人がたまにいたりしますが、それが一番いけません。